"辻村受託研究員から、まず、ダライ・ラマが語る仏教用語の英語表現についての研究報告が行われた。特に、51種類に分類される心の作用機能としての「心所」(古代インドのグプタ朝期、西暦4世紀から5世紀頃の仏教教学を代表する大学匠・アサンガが著した『アビダルマ・サムッチャヤ』を典拠とする分類)を取り上げ、その英語表現について、ダライ・ラマ自身による英文の著作、米国の仏教学者(Jeffery Hopkins)が英訳した著作、ダライ・ラマ専属のチベット人通訳者(Thupten Jinpa)が作成したチベット仏教の基本語彙の英訳集などを精査・検討した上で整理された資料が提供された。例えば、アビダルマでは「遍大地法」と呼ばれて来た10種の「心所」を、アサンガは二分して「遍行」「別境」という新たな術語をもって解釈するが、前者の「作意・触・受・想・思」と後者の「欲・勝解・念・定・慧」の中、現在のところ、概ね定まった英訳と言えるのは、「念」の‘mindfulness’だけであることや、「慧」については、チベット仏教における大乗菩薩の理念が、ダイラ・ラマによる当該用語の解説には入り込んでいることなどが指摘された。"
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密教文化研究所
日本とアジアの密教に関する総合的な学術研究をおこなっています